第三回 日本伝統医学から健康を考える(3)

これまでは目に見えない氣と意識について書いてまいりましたが、今回はもっと広い意味での氣について考えてみたいと思います。東洋医学では氣は世の中のすべてのものを構成している、とされています。形のない見えない風から、石ころ、動植物などなど、、、、です。あえて東洋的な表現にするために原子や分子などとはいいません。

形のないものと形の有るものとの違いは何でしょう?

それは氣の密度の違いと考えます。みえないもの、やわらかいものは氣が疎で、みえるもの、硬いものはそれに比べて氣が密であると考えます。これを氣の凝集性(ぎょうしゅうせい)と表現します。とういことは、宇宙から人体、そして地面までのあらゆるものが、氣をつうじてつながっているわけです。そしてお互いになんらかの形で影響しあっているといえるでしょう。みんな通じあっているから、全てのものはそれ自身の氣の状態が薄いか濃いかという違いだけになるわけです。これを遠くは天、近くは地、その間ではぐくまれた人との関係とも解釈するわけです。そして天や地の氣のながれをうまく摂り入れるような生活をすることによって、私たちは健康を維持することができるのです。

私たちと外気との境界はどこでしょう

からだの一番深いところに硬い骨があって、ここの気の状態が一番密です。そして外に向って、臓器、筋肉、ヒフとやわらかくなって氣の状態も疎になってくるわけです。ここまでは西洋医学の解剖学と一致するところもみられます。 それでは私たちのからだと、外界との境界はどこでしょうか?ヒフでしょうか?そうとも言えますが、体から発する熱気、おならなどのガス、あるいはオーラなどもその体の一部といえるのではないでしょうか。そしてこれらの氣が意識も含めて一律で規則正しく流れている状態が健康体です。

大切な氣の作用

いくつかある人体の氣の作用には「体を適度に温めて円滑な生理活動を保つ作用」があります。この「熱」は人が生きている証であるともいえましょう。これが頭のほうに偏るとか、多い少ないとか、全然なくなる、などの場合があります。もちろん全然なければ死んでしまうわけで、これは熱とは逆に「冷え」の極致です。ここから「体を冷やしてはいけない」ということになるのです。「氣を操作する鍼灸医学」にとっても、この人体の熱というものは大切な存在です。微妙な氣の動きをよみながら、その流れに影響を与えて体の熱のバランスをとるのも我々鍼灸師の重要な治療のひとつになります。 

お子様の氣の調整

例えばお子様の夜泣き、疳の虫、喘息やアトピーも氣の流れの乱れから来る熱のアンバランスと解釈することができます。幼児の体は大人の体のようにひねくれていないので、治療もシンプルで、体表をティースプーンの先などでリズミカルにちょっちょっと刺激をしてあげると変化が起きてきます。お子様によっては即、じわっと汗が出て来たり、すこ〜しだけ体温があがって、だんだんと症状が落ち着いてきます。適度な刺激で氣を調整し、体がバランスのよい熱を持つように仕向けるわけです。氣が疎である体表から刺激をすることによって、氣の密度の高い体内に影響をあたえるのです。

ご自宅でできるお子様治療の講習

 ご家庭でできる小児治療の講習を随時行っています。生後2ヶ月位から6歳位までのお子様の夜泣き、疳の虫、喘息、アトピー等、多くの疾病に有効です。ご家庭のティースプーンなどを使ってできる治療法をご紹介しますので、いつでもご連絡をお待ちしております。

第一回 日本伝統医学から健康を考える(1)

第二回 日本伝統医学から健康を考える(2)

第四回 日本伝統医学から健康を考える(4)