このコラムでは、東洋医学的な観点から、人と自然の調和をめざす考え方の紹介と、簡単な実験を通して読者の皆さんに自分の体を理解し健康体をめざしていただきたいと考えています。よろしくおつきあいください。
東洋医学の考え方
手始めに、漆塗りの丸盆に餅がくっついて固くなり、簡単にとれなくなったことを想定してみましょう。西洋の流儀ではハサミかメスで切り取るのでしょう。これはてっとりばやいが大切な丸盆にキズがついてしまいます。東洋医学では丸盆をぬるま湯につけて、餅が自然にやわらかくなるのを待って指でつまみとる … というわけです。
ここで餅を病人に例えるならば、「丸盆は安泰、病人はバンザイ」といったところでしょうか。 その病をみるだけでなく、それ以前に病人の全体を調整することによって、病が存在する根拠をなくすようにするのです。そこには病人みずからの治そうとする意志が存在しなければなりません。「意念、意志の至る所に気がいたる」と考えられているのです。それでは「気」とはなんでしょうか。なになにエネルギーなどと書かれている本も数多くみられますが、数値として簡単に測定できないような言い方は避けましょう。
実験をして見ましょう
「気」は人体のみならず万物を構成する要素であり、秩序であるとも定義できるのです。しかしここでは難しいことは言わずに、人が『ちゃんと生きているための根拠』とでも理解しておきましょう。 さてここで生きている人間同士で「気」を体験してみましょう。
1. 二人一組になって、一人は靴下をぬいで仰向けに寝て呼吸を整える。
2. もう一人は寝ている人の足元に座り、両手で寝ている人の足首をつかむ。ごく軽くつかむのがコツ。
3. 二人とも息を整えて、リラックスして何も考えずにボーっとしましょう。
たったのこれだけです。 3 分から 10 分くらい静かにしていると、寝ている人に変化がおこります。足首から体のいろいろな箇所に独特な感覚が広がっていくのに気が付くかもしれません。その箇所は人によって異なり、膝や骨盤の周囲や背骨だったりするでしょう。普通は寝ている人のほうが多く感じますが、足首をつかんでいる人も手にある種の感覚がおこる場合があります。どちらも気持ちのよいものです。この程度の時間ならば双方ともに適度なリラクゼーションになるでしょう。
うまくいっても、いかなくても 15 分くらいでやめましょう。悪い影響はありませんが、のめりこむ必要もありませんので ………
第二回 日本伝統医学から健康を考える(2)
第三回 日本伝統医学から健康を考える(3)
第四回 日本伝統医学から健康を考える(4)
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